福祉用具の利用も検討してみよう
介護の便利グッズは100円ショップでも販売されており、専門店ではより個人の状態に合ったものを購入できます。しかし希望のものが手に入らなかったり、必要なもの全てを購入するとなると費用がかさむ可能性もあります。そのため、福祉用具についても知っておくと良いでしょう。併用して介護の負担を軽減させ、なるべく自立した生活を送れるようサポートしていきましょう。
福祉用具とは
介護用品と福祉用具の違いから見ていきましょう。介護用品はその名の通り介護に使うためのものですが、福祉用具は自立した生活を送るための能力の維持や改善を目的として使う道具を指します。
福祉用具は、購入するものと貸与されるものがあります。車椅子や移動用リフト、特殊な機能が付いたベッドや床ずれ防止のための用具、歩行器や杖、自動排泄処理装置などを貸与することができますが、その中でも設置のための部品や定期的に交換する必要がある部分などは購入することになるので注意が必要です。その他、入浴補助用具や簡易浴槽なども購入できます。
自立した生活を送るための能力の維持や改善とは
例えば自分でトイレに行けるが、失敗してしまうこともあるという場合には、どのような対応をしたら良いでしょうか。常におむつを着けてもらったほうが、介護する側としては負担を軽減できます。しかし、それは今持っている「自力でトイレに行く」という能力を奪ってしまう可能性も孕んでいます。本人の希望や介護する人ができる範囲に合わせて、もっと適切な方法が無いか考えてみる必要があります。もしも失敗してしまう原因がトイレの環境にあるのならば、例えばドアをひねらなくても開けることができるように取っ手をハンドルタイプのものに変えたり、貸与可能な福祉用具である腰掛便座を設置することによって状態を改善できるかもしれません。
また歩行が困難であっても、全て車椅子を利用すれば良いというものでもないでしょう。杖や歩行器を借用して自力で歩くための筋肉や気力をサポートしたり、手すりを設置することもできます。
介護用品と福祉用具の併用で心身共に豊かな生活を目指す
昔とは違い現代では介護の場面で「尊厳」が大切にされています。身体がうまく動かなくなったり、もの忘れが多くなったとしても、1人の人間として尊重され、自分らしい人生を送る権利があります。例え家族であったとしても、その人の尊厳を無視するような行動はあってはなりません。しかし、介護をする側の尊厳も大切です。古い習慣だけに固執したり、便利グッズを使うことに罪悪感を持っているのであれば、それは大きな間違いです。お互いがなるべく快適に生活し尊厳を守るために、せっかく存在するのならば便利グッズを使わない手はありません。
福祉用具は自立した生活を送るための能力の維持や改善に使う道具だとお伝えしましたが、介護用品にもまたそういった目的があります。前述のトイレの例においても、外出時はおむつを使う、失敗しても不快な思いをしないように尿取りパッドを着けておくなど、介護用品によって本人の気持ちをサポートすることもできます。本人と介護する家族の希望をどちらも100%叶えることはできないかもしれませんが、介護用品と福祉用具を併用してなるべく穏やかに生活できることを願っています。
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